孤独死発生!警察の立ち入り許可が出ない場合
2023/04/21
孤独死をはじめ自宅で亡くなった場合は必ず警察の捜査が行われます、これは在宅看護で朝になっても目覚めないから救急車を呼んで死亡が確認された場合でも同じです。
事件性の有無を調べるためで不審な点がなければ数時間以内に立ち入り許可がでることがほとんどですのですぐに特殊清掃等に着手できますが稀に立ち入り許可が出ない場合があります、以下のような場合です。
1.事件性がある場合。
2.本人特定ができない場合。
(1)は当然ですが(2)はご遺体の腐乱が激しく身元の特定ができない場合がありそのような場合はDNA鑑定に回されます、それでもほぼ本人で間違いないとなれば立入可能になるのですが完全に特定されるまで入室を止められてしまう場合があります、立ち入り許可が出なかった経験談や立入許可までに相当な時間を要したケースをお知らせいたします。
☆本記事は株式会社まごのて佐々木久史が実際の現場体験に基づき執筆しました。
死亡した本人特定に時間が掛かる場合
都内のアパートで孤独死※死後30日前後(DNA鑑定)
アパートで孤独死が発生、隣の住民が異臭とハエを察知したことがきっかけで管理会社が安否確認をしすでに亡き人となってる居住者を発見したもの。
私たちに管理会社から一報が入ったのは午後20時とかなり遅い時間であった、すぐにでも消臭と消毒をという希望でしたが警察の立ち入り許可が出ていない!
なんと遺体の損傷が激しく本人確認ができないのでDNA鑑定になってしまったとのこと。
東京都の場合は監察医制度がありますので、こんな場合の対処は比較的早いです、とは言うもののDNA鑑定に入ってしまうと早くて2週間、遅いと3ヶ月以上掛かる場合があります。
管理会社から部屋の様子を聞く限り臭いレベルはかなり強く、ハエも乱舞してる模様、そして何よりも懸念されるのは隣への異臭漏れである。
それを考えると立ち入り許可が出るまで何もできないのはなんとも心苦しいですがどうすることもできません、いくら交渉したところで、もし亡くなってた人がまったくの赤の他人だったらたちまち事件になってしまいます。
管理会社にはとりあえず玄関ドアに養生テープで目張りをしてもらい、外への異臭漏れを防ぐ処置を行ってもらいました、隣の人には可能であれば空き部屋があればそちらへ移動してもらうことをオススメしました。
結局2週間を過ぎたころに立ち入り許可が出ました、一報から時間があったため管理会社と遺族とも十分な打合せが出来たので、本来であれば特殊清掃一次処理をして次のステップとなるところを、特殊清掃から遺品整理、本格的な防臭まで一気に進ませました。
体液の広がりは想像通りかなり広範囲で、もしこれが2階以上の部屋なら間違いなく下に漏れてたはずです。
☆孤独死が起きた部屋の原状回復4ステップ
事件性ありの場合は現場の保存が優先
孤独死や自殺などと比べて殺人事件の特殊清掃も年間数件は行いますがこの場合も発生から特殊清掃着手まで時間を要します。
孤独死と違ってご遺体発見まで時間がかかるということは少ないようで腐乱臭などに出くわしたことは今のところありませんが室内の様子はかなりのものであることが多いです。
千葉県のマンションで殺人事件がありその部屋と共用廊下の特殊清掃を行ってほしいと依頼を受けましたが共用廊下は着手できるけど室内は何も触ることができないと言うものでした。
内容は細かく書けませんが家族で住む3LDKマンションの一室で息子さんが友人と喧嘩になり刃物で切り付けられ刺され死亡したという事件でした。
その部屋だけは現場保存が指示されてるが他は使用しても良いというのは初めて知りました、ドアを開け室内を見ましたが壁には無数の血の付いた手形、天井にまで飛び散った血液、それは凄惨なものでした、この現場もおよそ2ヵ月近く経過してから特殊清掃作業に着手できました。
立入許可までに4回消臭作業を行った自死現場
上記のように基本的には警察の許可が出てから私たち特殊清掃業者が入るのですが例外的に最低限の処理だけならと認められる場合があります。
都内のマンションで40代男性が室内で自殺ということでしたがどうも不審な点があるため入室許可が出ない、ですが隣の部屋や廊下に臭い漏れがありなんとかならないかという相談から始まりました。
私たちのほうで管轄警察に掛け合い事情を説明した結果条件付きで消臭作業を行うことが実現したのですが示された条件は以下のようなものでした。
1.作業者は1名のみ。
2.室内の物には一切手を触れてはいけない。
3.警察官が必ず立ち会い一緒に入室する。
4.作業時間は15分以内。
5.薬品などを使用しないこと。
かなりの縛りがあります、しかも薬品を使ってはいけないというのがかなりのネックでしたが、事前に使用薬剤をサンプル提供し鑑識に許可をもらいましたが使用量指定をされてしまいました。
管理会社にはこの条件下では満足な消臭はできない旨伝えましたが数回実施することで緩和させることは可能と判断し結局捜査終了まで週1回現地に赴いたのでした。
においの発生源(ご遺体痕)があるままでは絶対に消臭は不可能でしかも薬剤の使用量まで決められてる中での処理でした、せめて遺体痕を覆わせてほしいとお願いしましたが却下されてしまいましたが当初より臭いレベルは下がったということでなんとか騙し騙し立入許可が出るまで週一回繰り返しました。
結局自殺と断定されたようでしたが不審点が何だったのかは知らされませんでした、ただ交渉次第ではこのような特例が認められるというのは大きな教訓でした。
立入許可前でも消臭できるように交渉します
警察の方針と実際の現場との間に生まれる差というものは必ずあり、保存されてる現場の隣近所は早くなんとかしてもらいたい、においだけでも取ってもらいたいと考えています。
上記のように現状を話し理解してもらって簡易的な消臭作業ができる場合もありますので、もしDNA鑑定や捜査で先の地通しが立たない、でも早くどうにかしたいという場合は一度ご相談ください。
状況によっては私たちで交渉します、ただどうしても認められない事案と言う場合もあり殺人や事件性ありの変死はほぼ認められませんが状況的には本人で間違いないという孤独死なら条件付きで認められる場合がほとんどです。
まずはお気軽にご相談ください。