特殊清掃見積400万円超!ある大家さんの悲劇

2023/04/07

物件を保有してるオーナーさんにとっては孤独死をはじめ人の死にまつわる事態はできれば避けたいと願っています、ですが起こるときは起きますし今や避けて通れる問題ではなくなりました。

今回はアパートやマンション運営をされている大家さんに向けた情報となっています。

本記事は株式会社まごのて代表取締役 佐々木久史が取材監修執筆を行いました

特殊清掃で超高額請求
 

孤独死が起きた部屋の原状回復

不動産会社に嵌め込まれそうになった大家さん
ある日数件のアパートを保有するオーナーさんが来社相談に来られました。
持ち物件のワンルームマンションの一室で孤独死が起こり管理を委託してる管理会社に事後処理を任せていたら3か月経ってようやく見積書が出たということでした、しかもその額が300万円をはるかに超えるもので慌てて相談に来たというものです。

孤独死が起きた!まず真っ先にやるべきこと

まず孤独死が発覚したのは3か月前で死後約1か月、隣の住人からの異臭通報で管理会社が警察立会いの元開錠し発覚したものでした。
大家さんは発覚したその日に物件を訪れ警察の聴取を受け事後の処理を管理会社に任せたそうです、その後家財の撤去を保証会社が行ったという報告を受けて以来なんの音沙汰もないまま3か月になろうかという日に管理会社から現状回復の見積書が届いたのでした。

その数字はなんと税込で400万円近くにも及んでいます、内容は内装をすべていったん解体し新たに造り直すという内容でした、どうしてそのような作業になるのか聞いたところ臭いが強いので全解体して造り直す必要があるというものでした、年間家賃収入が70万円強しかない部屋にこれだけのお金をかける価値があるのか?本当にそうしないと臭いはきえないのかと疑問に思い来社されたのでした。

写真などを見た感じではフルリフォームが必要には見えませんでしたが臭い濃度までは見えないのでその足で現地に飛び部屋を確認しました。
すでに家財が撤去された部屋は都内に普通にあるワンルームマンションです、ただ部屋の中央には薄く人型の跡があり窓際には大量のハエの死骸が山のようにありました、におい濃度は若干強めですが私たちには確実に消せるものです。

その後特殊清掃(完全消臭)とリフォーム提案書と見積もりを行いましたが管理会社との関係性が断たれることによる不利はないか思案していましたがある方法を提示し私たちに発注となりました。

孤独死部屋のにおいを確実に消す業者
 

事故があった事実をを払拭する原状回復

結果から言いますとこの物件はご依頼後すぐに着手し約3週間で脱臭完了、その後すぐに工事担当にバトンタッチされ1週間でリフォーム完了、さらに2週間で新入居者がきまりました、しかも告知事項ありで従来家賃より1500円upで決まったのです。

そして特殊清掃とリフォーム総額はおよそ110万円でしたので当初の金額より1/4まで少なかったということになります。

オーナーさんが懸念されていたのは管理会社との関係性でしたが私たちは思い切って管理会社を変える提案を行いました、不動産管理会社といっても様々な形があるのですが多くは賃貸管理です、つまり入居募集や月々の家賃の管理です建物全体の営繕やゴミ捨て場や共用部の管理は建物管理会社が行います、このアパートの場合は建管は業者を入れずオーナーさん自らの自主管理で賃貸管理をお任せしていたという内容でした。

私たちに発注になった時点でそのアパートの地域に強い不動産会社を紹介しました(従来の管理会社は物件からは少し遠い場所でしたが同一区域内の業者を紹介)今までの経緯をすべて話した上で全室の管理委託を受注し従来の管理会社との引継ぎもすべてやってもらいました。

そして特筆すべきはリフォームに着手する前から私たちの工事部とオーナー管理会社の三社で内装をどう作るかを協議しました、地域性とターゲティングに合わせた内装を作ることでその部屋に入ってほしい層に訴求するという手法にしました、このあたりの判断はさすが地元密着の不動産業者のなせる業だと感じました。

そして結果的に告知事項ありにもかかわらず家賃を下げることもなく新入居者が決まったのでした、もし当初の管理会社の言うままにリフォームをしていれば400万円近い出費となり家賃は大幅ダウンで何のために賃貸運営をしているかわからない状況に陥ってたかもしれません。


 

特殊清掃費用200万円は妥当?

一人暮らしの身内に孤独死が起こり発見は死後20日程度、亡くなってた場所は布団の上で臭いはそれなりにあるというものでしたが、現場には一度だけ足を運んだがあとの処理はすべて不動産会社に任せたというご遺族からの相談でした。

不動産会社側で特殊清掃業者が手配され、作業も完了し請求書が届いたのですが、そこに記載されていた金額がおよそ200万円というものでした、それなりの金額は覚悟していたがあまりの高額にびっくりして相談したという経緯です。

私たちに何らかの業務が任せられるというものではなかったのですが、興味もあり少しお話を聞いてみたところ明細に記載されてる内容を読み上げてもらいなんとなく全容が掴めました、明細といっても3項目しかないらしく「残置物撤去」「消臭消毒」「原状回復費」だけのようで、総額のうち70%が原状回復費に充てれていたそうです。

それぞれ金額を当てはめますと、家財撤去費45万円、消臭消毒20万円、原状回復費140万円で合計205万円というものでした。

元の家財の量がわからないのですが2LDKであれば概ね妥当な金額です、消臭消毒というのがいわゆる特殊清掃の部分だとすると若干安いイメージですが、原状回復費をリフォームと考えると高いというか本来ご遺族が負担すべきものではない部分も含まれていると感じましたが、細かい明細もなかったので言及は避けました。

孤独死のあった部屋の費用はご遺族の負担分は家財撤去と特殊清掃費、そして特殊清掃のために解体した部分を元に戻すまでというのが基本的な部分ですのでこの請求は一部余分なものが入ってるのかもという印象でしたが、事前に見積書や口頭で金額的な部分が伝えられていないのはおかしいと言わざるを得ないものでした。
 

賃借人とのトラブル回避のために

物件運営をする中で孤独死などのトラブルはつきものですし今やレアケースではありません、ですから起こった時にどうするかという対策は立てておく必要があります、今回のように管理会社に丸投げで任してしまうと大きな出費を強いられたり行わなくてもいいことをしてしまったりし何のために賃貸経営をしているのかわからなくなってしまいます。

管理会社(特に賃貸管理)とのお付き合いは大事です、自分で行うことが難しいことを代行してくれる強い味方ではありますが孤独死などの特殊事案に対して長けてるかどうかは別物で経験上それほど処理能力に優れてるという方に出会ったためしはありません。

孤独死、特殊清掃は賃貸運営の中でも特殊中の特殊です、ですからイザ起きた場合の基本的な考え方や処理の進め方はある程度知っておいたほうがいいでしょう。

そして必ず実行していただきたいのは保険です、このような時のために対応する保険に必ず入っておきましょう、それも借家人側の保険ではなく物件オーナーが掛けている火災保険の特約で付加するのが一番良いのではないでしょうか?入っていた場合と入っていなかった場合では天と地ほどの違いが出てしまいます、昨年手掛けた特殊清掃事案ではオーナーさんの資金が続かずリフォームまでは手が回らず未だに貸せない状況が続いています。

そのような憂き目に遭わないためにも日ごろの情報収集は大切だと思います。

なお弊社は宅建業者でもあり代表者の佐々木久史は宅建士であり賃管士でもあります、お気軽にご相談ください。

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