【特殊清掃業界の恥】本来あってはいけない他社施工やり直し
2023/09/19
2019年頃からいわゆる他社が特殊清掃をしたけど臭いが消えないであるとか臭いが戻ってきて困ってるという相談が増加しています。特殊清掃業者を選ぶ時点で失敗してるわけですが、信頼して清掃や消臭を依頼したにもかかわらず臭いが消えていなければ特殊清掃を依頼した意味がなくなってしまいます。
今回はそんな特殊清掃業者選びの失敗ともいえる他社施工の特殊清掃やり直しについて実例を交えながらお伝えいたします。
☆本記事は株式会社まごのて代表取締役佐々木久史が執筆いたしました
☆孤独死の特殊清掃でまごのてを選ぶ価値とは

特殊清掃だけは料金中心に選ぶと失敗しやすい
特殊清掃のやり直し依頼の大半はその物件に一度お問合せなり現地調査を行ってることが多いです。この現象は孤独死発生時に特殊清掃業者数社を相見積させ予算に合う業者もしくは安値の特殊清掃業者を選んでるということです、特殊特殊清掃業者選定に於いて「見積書」の金額しか見ていない結果です。
そもそも特殊清掃業者からはどんな書類が届きましたか?孤独死関連の特殊清掃では最低でも三種類の書類が出る必要があります。
1.現況調査報告書
2.作業提案書
3.見積書
この中で一番大事な書類は(1)の現況から鑑みて(2)の作業提案書(施工提案)です。提案されてる内容に対しての(3)の見積額が妥当かどうかの判断が必要で、どんな作業内容かわからずとりあえず表面上の金額が安い特殊清掃業者に依頼するのが間違いの元なのです。
料金で比べるなら特殊清掃業者のレベルを揃えること
そもそも作業提案書を出さない特殊清掃業者も多いと聞きますが、それはまったく論外で業者選定の土台にすら乗せてはいけません。特殊清掃作業提案書には大まかでもどんな作業を行い、使用薬剤や機材が明記されており、完成形はどうなるのかが示されていなければいけません。
その作業提案書が同じような内容とレベルの特殊清掃業者で更に料金比較をするというのが失敗しないための絶対的条件です。昨今は特殊清掃業者と掲げてるものの「自称」の域を超えない業者も数多く紛れ込んでいます。最低限消臭の技術や知識が推し量れるのは作業提案書であって見積書ではないと覚えておきましょう。
☆【特殊清掃料金相場】孤独死部屋の特殊清掃リアルな支払金額
他社施工の特殊清掃やり直しレポート
ひとくちに特殊清掃業者と言ってもすべての業者が的確な消臭をできるとは限らない典型例ですが、所有アパートで孤独死が起き、特殊清掃を他社に依頼したものの臭いが取り切れてなくまた臭ってきたという相談は一定数あり特に4~6月と10月~12月に多いです。春から初夏にかけての相談は冬場に体感的な臭いをあまり感じないからと適当な孤独死の処理をしたため気温上昇と共に臭いが沸きあがってきたもの、秋から冬にかけては夏期間の特殊清掃繁忙期の不備です。臭い戻りの原因の大半は遺体痕の処理が全くされていない、遺体痕の検索が不十分で見落としていたというものです。
本来であれば依頼した特殊清掃業者が手直し作業をすべきですが「ここまでが限界です」やこれ以上臭いを取るには解体しかないといった逃げ口上でまんまと騙されてるケースが後を絶ちません。ほんの一例ですがまごのてで行った特殊清掃のやり直しレポートをおしらせいたします。
消臭完了で引渡された部屋から臭いが戻ってきた
東京都中野区のワンルームマンションオーナーからですが、特殊清掃を終え引渡を受けた部屋にリフォームの打合せに入室した際に臭いが残ってる気がしたのがご相談の発端でした。
相談はこの物件を持つオーナーさんで、3ヵ月前にこの部屋に住む入居者が孤独死し死後約3週間から1ヵ月で発見されたそうです。客付けを依頼している不動産会社からの紹介の特殊清掃業者に家財撤去と特殊清掃と消臭をしてもらい約10日前に消臭が完了して引渡されたというものでした。
この時点ではまだどんな作業がされたのか、本当に残留臭があるのかわからないので臭気チェックを提案し部屋に向かったのです。現場は住宅街にあるごく普通のワンルームマンションで築年は20年程度の比較的新しい物件でした。入室した瞬間確かに薄いですが腐乱臭を感じたのでどこかに汚れの取り残しか脱臭の不備があると仮説を立て室内をくまなくチェックすることにしたのです。
特殊清掃とは名ばかりの手抜き作業発覚
まずご遺体があったとされる場所にはペンキのようなものが塗られていました。まごのてでもコーティング剤は使用しますがコーティングならばもう少し厚みがあるはずで、これはただ単にペンキを塗っただけに見えますし、下板がそのままであることから下板のさらに下は未検索ということになりますので、物件オーナーに了承を得て下板を一枚剥がさせてもらいました。剥がした結果わずかですが遺体痕が流れています、これでご遺体痕の取り残しがあることが確定的となりました。
この部分だけの取り残しであれば手直し自体もそう難しい作業ではありません、特殊清掃のやり直しは何が難しいかと言えば元の状況がわからないことです。この部屋もまったく状況がわからない中で手探りでご遺体痕を探さなければいけないことです。
いずれにしても表面しか拭っていないことは確定してますのでご遺体痕がどう流れたか推察しながら追跡するしかありません。結果的にかなり広範囲に遺体痕の残留とよく見ると建具や窓にハエの跡も付着したままでした。これでは特殊清掃をしたことにはならず、もしそのままリフォームを行ってしまえば大変なことになっていたはずでした。
オーナーにとっては本当に気の毒なことですが、再度特殊清掃をイチからやり直すことをご提案し、費用も相当余分にかかってしまうことになってしまいましたが、お金のことより確実に消臭してほしいと再施工をご依頼いただきました。
内装を全解体したのに臭いが残ってる
千葉県の某地域のマンション(RC5階建て)で孤独死があり、ネットで見つけたという特殊清掃業者に作業を依頼したところ、臭いが強いので特殊清掃では消えない、だから内装をいったん全部解体して作り直しましょうと提案を受けたそうです。この物件オーナーは他にも物件を所有しており、そういえば以前もリフォームしたことがあったことを思い出しその特殊清掃業者のいう通り内装解体を行ったそうです。
家財をすべて搬出しユニットバスもキッチン台も壁のボードもすべて取り払い費用はここまでで300万円、新たに内装を組みなおすのに更に400万円と言われていたらしいですが、付き合いのある工務店に内装は作ってもらうからとこの特殊清掃業者はここまでの作業にしてもらったのです。
そしてこのオーナーと取引のある工務店が内装作りのための現地調査に入室したところ、異様なにおいを察知しまごのての元に相談がきたというものです。
スケルトン工事でも遺体痕は残ることがある
他社特殊清掃やり直しの難しい面は元の状況が全くわからないことです、まともな業者であれば作業報告書なり提案書なりが出ていて素人が見ても時系列でどんな状況だったのかわかるようになっています、ですが完全消臭ができない適当な処理をする特殊清掃業者がそのような物を提出してるはずもなく、この件も書面によるものが何もありませんでした、施工した特殊清掃業者に物件オーナーに作業の時系列がわかる写真を送ってもらうよう話してもらいましたが写真が送られてくることはありませんでした。
ただ今回は内装が全部なくなってるスケルトン状態ですので、見ればだいたいの見当が付くだろうとの判断で現地に行ってみました。
物件オーナーとも合流し入室すると確かに孤独死特有のにおいが漂っておりハエも飛んでいます。間違いなくどこかににおい発生源があるはずと頭の中で元の部屋の間取りを復元しました、ご遺体があったのは部屋中央壁寄りでベッド上だったと言うことです、死後3ヵ月ほどで発見原因は隣の人が玄関前を通った際に臭いを感じたことと外の廊下にやたらハエが多く出たことで怪しんで通報し孤独死が発覚したものでした。
仮説を立てながら室内を見ていったところ、壁際と床面にかすかな遺体痕と窓周りにハエ跡を認めました、これらがにおい発生源となっておりにおいが出続けていたと考えます。
おそらく床はベッドを突き抜けた遺体痕が床材を汚し、それが下のコンクリート面に付着したもの、壁面は解体や搬出作業の際に触れて汚れを拡散させたと仮定しましたが、いずれにせよ内装解体すればにおいが消えると提案した自称特殊清掃業者の責任は大きいと言えます。
完全消臭への手直し作業開始!
そして消臭作業を実施となりました、とにかく臭い発生源を完全に除去するのはもちろんですが、コンクリートに染み付いたにおいを叩き出すのがこの作業の肝になります。
コンクリートというのはいわばスポンジのようにボコボコと穴が開いています、そして経年によるクラックも入っているため意外と難易度は高いのです、数種の薬剤を使いひたすら洗浄を繰り返します、その他ハエやウジが侵入したであろう排水管なども念入りに洗浄したのです。
その結果およそ2週間で完全消臭となり引渡を行いました、その際にマンションオーナーはいったいあの300万円は何だったのか?と呟きました。※ワンルームの内装解体で300万円は超高額ボッタクリです。
私たちの感覚では確かにご遺体発見までに時間もかかってますし、さらにその後の放置期間もあったようなので臭い濃度は高かったと思いますが解体の必要性はなかったと考えます。今回の消臭手直し施工は約50万円でしたが、最初の状況だとしても同じかもう少し高い程度で済んだのではと思います。
表面がキレイだからと手直し特殊清掃を拒んだオーナー
東京都世田谷区のマンションを瑕疵ありで買い取ったというオーナーから相談でした。孤独死があったけど特殊清掃は終わっており体感的に臭いも感じないけど何故かハエが寄ってくるということで相談を受けました。一応臭気チェックということで現地を拝見すると確かに体感的な臭いはありませんが、その時にもハエが2~3匹飛んでいました。
孤独死があった部屋ということが隠蔽されていたわけでもないのでその部分は問題ないのですが、ハエが出るのは何か原因があります、考えられるのは2通りで排水管の臭いを察知して寄ってきてる、ご遺体痕が残ってる。死亡事故があったのは間違いないので遺体痕残りの線で捜索を開始しました。
新オーナーも孤独死があったことは聞いてるが亡くなっていた場所までは聞いてないということでしたので本当の手探り状態です。ブルーライトで床面を照らしていくと部屋の奥に汚れが浮き出ました、ただちにご遺体痕とも言い切れないのですが思い切ってCFを剥がすことにしました。
CFを剥がすとその下には見事に腐敗体液の広がりがありました、新オーナーも目の前で見ていたのですが、そのまま玄関のほうまで飛んで逃げました。その場で特殊清掃提案とその費用を説明しましたがなんと新オーナーの出した答えは「特殊清掃をやらない」でした。
理由は確かに汚れてはいるけど体感的な臭いがない、それであればこのままで良い。賃貸で出すつもりだったけど安く買ったのでこのまま転売することも検討するということでした。遺体痕を目の当たりにしながらも頭の中で算盤を弾く感覚には少しあきれつつその場を後にしたのですが、ほどなくして不動産会社だけが見れる物件情報システム(レインズ)にそのマンションが登録されていたのには驚きました。
しかも告知事項ありとは書いていませんでしたので売主側(新オーナー)で隠ぺいしたのは事実です。このように本来告知しなければいけない事実が複数の手に渡ることで隠ぺいされていくことは看過できませんが、元々の特殊清掃に不備があること自体許せないことです。このマンションがなぜ体感的な臭いを感じなかったのかですが、漏れ出た腐敗体液が少なかったことと真冬であったことが原因と考えます、真冬は室温がかなり低いためいわば冷蔵庫のような環境です、ところが人が住み始め暖房を使ったり季節が進んで暖かくなると、臭い成分が覚醒し急に臭いを発するということはよくあることで、ご遺体痕がある限り臭いは必ず出ます。
他社手直し自体特殊清掃業界の恥です
Twitterなどを見てますと皆様が考えてる以上に特殊清掃のやり直し事案が多いことがわかります。まごのてでも特殊清掃依頼の2割弱がこの他社が施工した特殊清掃のやり直しなのです。タイトルには手直しと書いてますが、手直しというのは大筋では合ってるけど今一歩足りないことを指すのですが、上記で書いた実例などは手直しというレベルのものではなく特殊清掃そのものをやっていないというレベルです。
他職でこのようなことがありますか?ハウスクリーニング業界では確かに汚れに対する妥協点が低い業者もあり、あとひと手間かければもっとキレイになるのにというレベルはあります、リフォームでも壁紙のこの部分の継ぎ目に浮がある、などはありますがいずれも本当にちょっとした「手直し」で終わります。
ですが「やり直し」レベルで度々このようなことが起きるのは特殊清掃業界だけではないかと思うのです。このような出来事はいわば特殊清掃業界の恥です!私は他の特殊清掃業者と迎合するつもりもありませんし、妙な団体に加担するつもりも毛頭ありませんが、特殊清掃業界全体がこのような事実を認識しレベルアップを図る時期だと思っています。正しくレベルアップしたとき初めて本当の競争力が生まれると考えています。つまり冒頭で申し上げた表面上の価格競争ではなく技術で競い合う状態になるのがお客様にとって一番良いのです。
原状回復の第一歩は特殊清掃である
部屋で孤独死など異変が起きたらそこから原状回復に向かって進んでいくのですが、その端緒は特殊清掃であることを特殊清掃業者もお客様もしっかり認識してほしいと思います。孤独死など人の死があった場合は必ずこの特殊清掃が入り口となります、ですからこの初めの特殊清掃部分で間違いや不備があればその先まで間違ったままで原状回復そのものが失敗に終わり結果的に費用や時間も大きく失ってしまいます。
ご遺族や連帯保証人、大家さん、不動産管理会社など関係する人は多数あれど、みなさん一般の人であって特殊清掃に対する知識も技術もないのは当然です、ですから特殊清掃業者に依頼となるのですが、この業者選びで失敗してしまったら元も子もありません。
けっして特殊清掃業者を選ぶ際には安さやキレイなだけのホームページの自称特殊清掃業者を選ぶことなく、確実な清掃と消臭ができる特殊清掃業者をお選びください。東京近辺での孤独死現場であればあれこれ考える必要はありません、まずはまごのてにご相談ください。
特殊清掃に関してはプロの意見だけを参考に
特殊清掃の手直し事案は下記2つの要素があります。
1.特殊清掃業者の知識と技術不足
2.当事者の認識不足
(1)の特殊清掃業者の技術不足についてはここで改めて書く必要はないと思いますので省きますが、特殊清掃業者選びの際に細心の注意を払えばハズレ特殊清掃業者を選ばずに済むということは覚えておきましょう。
(2)が実は私たち特殊清掃業者にとっても一番困るのです。昨今はインターネットを使えばある程度の情報を得ることができ、特殊清掃もその中のひとつです。ですが一定数信用に値しない情報もあり、もしその情報を鵜呑みにしてしまったら大変なことになるぞという情報も多く出回ってます。
孤独死などの原状回復や特殊清掃で絶対に失敗したくなければキチンとした特殊清掃のプロのアドバイスを100%聞き入れることです、ただしこの場面でも特殊清掃業者の見極めが大切ということです。
プロの意見を無視し失敗した不動産管理会社
東京都江東区のマンションで住人が浴室で孤独死し死後3ヵ月経って発見されたものです、管理会社から第一報をまごのてにしてくれたまでは良かったのですが、その先の作業の仕切りを何故かその管理会社の担当者がやるというものでした。
もちろん私たちから正しい原状回復の流れをお知らせしていたのですが一向に譲りません、しかもあろうことか完全防臭処理をすっ飛ばしリフォームで隠してしまうという無謀な計画を発表したのです。
具体的にはどう進めようとしたかと言いますと、特殊清掃一次処理→残置撤去(他社)→なぜか壁紙剥がし(他社)→消臭剤噴霧とオゾン燻蒸(まごのて)→リフォーム(まごのて)
当然このような進め方では上手く出来るはずもなく、この件に関してさっさと辞退し特殊清掃一次処理だけを行いました。約1か月ほどした頃この管理会社の別の担当者が来社され平謝りに謝り、再度このマンションの特殊清掃から着手してほしいとなりました。(どうやら不完全な仕上がりのためオーナー側が激怒したということでした)
管理会社の担当者は以前同じような孤独死が起きた時に壁紙を剥がして床に新たなCFを貼れば臭いが消えたことがあったので、今回も同じようにしたということでしたが上手くいかず再依頼となったということです。
私たちの進言を無視し独行した担当者の見識不足で起きたことですが、意外とこの例は多く不動産業の人も長くやってれば同じ事案に遭遇することもあり、そんな際に「以前は」という考えが頭に浮かぶのもわからなくはないですが、失敗してしまっては何の言い訳もできないのです。
特殊清掃からリフォームさらに賃貸経営アドバイスまで自社一貫
株式会社まごのては特殊清掃やゴミ屋敷(汚部屋)片付けに特化した専門の清掃会社です。
特に特殊清掃に関しては薬剤や機材の研究と設備投資を最大限に行い完全な原状回復ができるよう日々努力しています。
ほんの十数年前は孤独死があった部屋の臭いは完全に取り切れないという認識がありましたが、昨今は薬剤や機材の開発も進み何事もなかった部屋に回復させることが可能になりましたが、特殊清掃に携わる人のモラルや技術の追及姿勢は残念ながら及んでいません。にわか特殊清掃業者が跋扈する中まごのては現状に甘んじることなく日々技術向上に邁進しています。
まごのては不動産会社としての許認可を受けています、ですので賃貸客付けのターゲッティングから賃貸経営アドバイス、時には賃貸客付けや売買までトータルで行えますのでどんなことでもご相談ください。
特殊清掃のセカンドオピニオン行います
他社で特殊清掃をしてもらったけどどうも臭いが残ってる気がする、特殊清掃や原状回復の提案を受けたけど正しいのかわからない、特殊清掃料金が妥当かどうかチェックしてほしいなどのご要望にお応えいたします。
ご相談自体は無料で行いますが、もし手直しや相手業者との交渉などが発生した場合は別途費用を申し受けます。